全章連続表示(印刷用)

付録成果物のサンプル ── 検査の手掛かりを備えた書き方の例

4章で、成果物に書いておく要素を挙げました。この付録は、それが実際の成果物のどこに、どう現れるかを見せるための切り出しです。

業務の流れ:送料無料キャンペーンを実施する

IDタスク主体(レーン)開始条件事後条件
T-0101キャンペーンの条件を決めるA-0001 販売企画担当キャンペーンの実施が社内で承認されている対象期間と閾値が、キャンペーン計画に記録されている
T-0102送料無料の閾値を切り替えるA-0001 販売企画担当キャンペーン計画に閾値が記録されている/担当者が閾値を変更できる役割を持っている【未決:ISSUE-0012】閾値設定が「キャンペーン中」になり(ST-0002)、新しい閾値で送料が計算される/変更の履歴が記録されている
T-0103受注の送料を計算するA-0002 受注システム顧客が注文を確定した閾値と注文の合計金額から送料が決まり、受注に記録されている
T-0104キャンペーンを終えるA-0001 販売企画担当対象期間が終わった閾値設定が「通常」に戻っている/変更の履歴が記録されている

主体の一覧

ID主体担うこと
A-0001販売企画担当(発注者側・販売業務)キャンペーンを企画し、閾値を切り替える
A-0002受注システム受注の送料を計算する

業務ルール

ID業務ルール
BR-0005注文の合計金額(税込)が閾値以上なら、送料を無料にする。閾値は、キャンペーンの期間中に限り、販売企画担当が変更する。

状態の定義

ID状態(閾値設定)意味入る/出るタスク
ST-0001通常通常の閾値で送料を計算しているT-0104 で入る/T-0102 で出る
ST-0002キャンペーン中キャンペーンの閾値で送料を計算しているT-0102 で入る/T-0104 で出る

例外の一覧

ID例外起きるタスク扱い
EX-0003閾値に、0円以下の値や数値でない値が入力されたT-0102変更を受け付けず、閾値設定は変わらない
EX-0004キャンペーン中に受け付けた受注が、終了後に変更・取消されたT-0103【未決:ISSUE-0015】

ユースケース

UC-0003 送料無料の閾値を変更する            [ADR-0231]

主体     :A-0001 販売企画担当
実現するタスク:T-0102
事前条件   :キャンペーン計画に閾値が記録されている
        担当者が閾値を変更できる役割を持っている【未決:ISSUE-0012】
基本の流れ  :1. 担当者が、新しい閾値を入力する
        2. システムが、入力された値を検証する(EX-0003)
        3. システムが、閾値設定を「キャンペーン中」に切り替え、
           変更の履歴(変更日時・変更者・変更前後の値)を記録する
事後条件   :閾値設定が ST-0002 になり、以後の受注は新しい閾値で送料が計算される

要求事項

ID要求事項出どころ
REQ-0012販売企画担当は、開発側のリリースを伴わずに、送料無料の閾値を変更できるUC-0003・BR-0005
REQ-0013閾値の変更履歴(変更日時・変更者・変更前後の値)を保持するUC-0003
REQ-0014期間を指定して、閾値の切り替えを予約できる【未決:ISSUE-0013】T-0101

サンプルと、検査の手掛かりになる要素の表の対応

成果物に書いておくこと(4章)このサンプルのどこにあるか
要素ごとのIDと、IDでの参照(例:要求事項 REQ-0012 に「出どころ:UC-0003」と書く)どの行にもIDがある。要求事項の「出どころ」、ユースケースの「実現するタスク」、業務の流れの「主体」が、IDで前の成果物を指している
業務の流れの各タスクの、開始条件と事後条件業務の流れの表の、開始条件・事後条件の列
各タスクを担う主体(レーン/アクター)と、主体の一覧業務の流れの表の主体の列と、主体の一覧
あいまい語でない事後条件(判定基準)と、状態の定義T-0102 の事後条件が、状態(ST-0002)と「新しい閾値で送料が計算される」で書かれている
業務ルールと、成果物からそこへのつながりBR-0005 と、REQ-0012 の出どころ
例外の一覧例外の一覧と、ユースケースの基本の流れから EX-0003 への参照
成果物の種別(要求事項・ユースケースなど)が分かることIDの接頭辞

この切り出しには、未決が3つ残っています(ISSUE-0012・0013・0015)。通し例の1周目で残った未決とは一部違います。切り出しの中で起きる未決を選んだためです。未決が残っていても、未決と分かる形で書かれ、ISSUEへ辿れれば、成果物としてはそれで足ります。

AI-Trusted Spec method 初版
© INTRAMART CORPORATION