前付け本書が解くもの、解かないもの
本書の射程を、先に示します。本書が定めること、プロジェクトに委ねること、本書の仕組みでは解けないことの3つに分けました。
解くもの(本書が定めること)
| 定めること | |
|---|---|
| 育て方 | 成果物を育てる4ステップ(【たたく】【深める】【広げる】【確かめる】)。要件定義でも外部設計でも、同じ4ステップで回す(3章) |
| 決定の残し方 | 何を決定としてADRに残し、それがどの成果物に当たるか。ADRの形式と状態、ISSUEとの分け方(6章・7章) |
| 検査の定義 | 2つの検査が、何と何を突き合わせ、いつ回り、何を指摘として返すか(8章・10章) |
| 辿り方 | 要求から外部設計まで、成果物どうしを双方向に辿れるようにすること。決定は、成果物を経由して次の工程へ伝える。実装へは、上流の仕様が満たすべきことを示してつなぐ(13章) |
| 変更の回し方 | 変更要求が来たときの1周。変更要求を受け、影響を調べ、決めてADRに残し、成果物に入れる。【確かめる】で指摘が出なくなったら、人が閉じる(11章) |
| AIと人の線引き | AIは気づきを返し、検算する。答えを生成せず、合否を判定しない。決めるのは、常に人(3章) |
解かないもの(プロジェクトに委ねること)
固定すると現場に合わないので、本書が空けてある場所です。
| 委ねること | |
|---|---|
| 成果物の体系 | 何をどこまで、どう書くか。本書が定めるのは、検査の手掛かりになる要素だけ(4章) |
| 実装への渡し方 | 上流の成果物を、どう実装へ渡すか。本書は一例として、外部設計書と項目の意味を実装のコンテキストに渡し、AIに実装用の仕様書を書かせてから実装させる流れを示す(13章) |
| 検査の回し方 | 道具立て、何回に分けて回すか、置き場。参照の照合と【広げる】を一度にまとめて回さないことだけは守る(8章) |
| 検査を回す頻度・深さ | どこを節目にし、何本のシナリオを歩かせるか(8章) |
| 記録の運用 | ADRを書く線、決定の確定者、台帳を誰が揃えるか、IDの桁数 |
| 発注者との共有 | 決定を、どこまで、どの場で読み合わせるか |
| テストの実務 | 観点マトリクスの様式、DDP集計の実務、合否の閾値、AIに試験手順を書かせるやり方(12章) |
解けないこと(本書の仕組みが持つ限界)
本書の検査は、書かれたものどうし、書かれたものと決定を突き合わせます。だから、書かれなかったものは見つけられません。突き合わせる相手がないからです。これは、決めれば書けるものでも、回せば目盛りが出るものでもない、本書の仕組みそのものの限界です。知ったうえで使ってもらえるよう、ここに挙げておきます。
現れ方は4つで、それぞれに補う手立てがあります。
| 現れ方 | 補う手立て |
|---|---|
| AIの検査で、すべての食い違いが見つかるとは限らない。指摘が出なかったことは、見落としがないことを意味しない(10章) | 見落としへの備えの選択肢(10章) |
| 書かれなかった決定は、台帳に跡が残らないので拾えない(15章) | 【広げる】の業務との整合で、業務ルールにつながらない要件と、要件に反映されていない業務ルールを、両方向から探す(9章) |
| 書き漏らした未決は、埋めてよい空白に見える(5章) | 節目の未決型ISSUEの棚卸し(5章) |
| 制約節に書かれなかった要求は、問いが立たないので拾えない(6章) | シミュレーションで業務の場面を歩かせ、書かれていない空白そのものを探す(8章) |
限界は消えませんが、補う手立てはあります。まだ十分に確かめられていないものは、次の本書の現在地にまとめています。