ローコード開発の「要件定義」とは? 効率的な進め方を解説

要件定義とは、システム開発の目的に合わせて、必要な機能や要求事項を明確に定義する作業です。ローコード開発においても、従来のシステム開発と同様に、要件定義からプロジェクトを進めることが重要です。要件定義を行うことで、開発中の仕様変更や、リリース後の改修を最小限に抑えることができます。

この記事では、ローコード開発で行う要件定義について理解し、intra-martの機能やツールを最大限に活用しながら、効率的に要件定義を進める方法について解説します。

この記事でわかること

  • ローコード開発でも要件定義が必要な理由
  • ローコード開発の特徴と、従来のシステム開発との違い
  • intra-martのローコード開発ツールを活用した要件定義の進め方

ローコード開発で要件定義は必要?

ローコード開発ツールを使うと、プログラミング経験が浅い人でも、手軽にアプリケーションを作成できます。すぐに作成できることは大きなメリットですが、実際にアプリケーションを使い始めてから、必要な機能が不足していたり、使い勝手が悪かったりすることがあります。

せっかく作成したアプリケーションを後から改修する手間を避けるためにも、アプリケーションの規模にかかわらず、まず要件定義を行うことが大切です。ここでは、ローコード開発でも要件定義が必要な理由について、詳しく見ていきましょう。

理由1. 開発内容を正確に把握するため

プロジェクトの目的を正しく理解し、そのために必要な業務要件を明確にすることで、後続のフェーズでの設計変更や仕様追加によるリスクを減らすことができます。まず現状の問題を把握し、課題を抽出した上で、システムによる問題解決の方法を検討していきます。

特に、初めてローコード開発を行う場合は、プラットフォーム全体を把握し、どのツールや機能を使用するかを検討した上で、実現可能性を確認することが重要です。たとえば、標準のツールや機能で実現できる範囲と、カスタマイズが必要となる範囲を明確にしていきます。

理由2. 開発計画を正確に立案するため

業務要件を明確にすることで、プロジェクトの全体像が見えてきます。各フェーズに必要な期間やリソースなどを検討できるようになり、より正確な開発スケジュールを立てることができます。

さらに、ローコード開発では、ゼロからプログラミングする必要がないため、開発期間を短縮できます。また、ツールや機能で対応できる範囲はプログラミング経験の浅いメンバーに、カスタマイズが必要な範囲はプログラマーに割り振るなど、作業を分担することでリソースを有効に活用できます。

理由3. 開発費用を正確に見積もるため

開発費用は、社外に発注する場合だけでなく、社内でシステムを開発する場合でも、予算を確保するために必要です。開発における人件費は、作業工数と単価を掛け合わせて算出され、開発費用の大半を占めます。そのほかにも、設備費などの経費がかかります。

こうした開発にかかる費用は、要件定義を行い、必要な作業や工数を明確にすることで、より正確に見積もることができます。特に、初めてローコード開発を行う場合は、これまでの実績をもとに、どの作業をローコード開発に置き換えると効率的なのかを検討することで、必要な作業工数やリソースを算出しやすくなります。

ローコード開発の特徴を理解する

正確な要件定義を行うためには、ローコード開発で何ができるのか、また何ができないのかといった特徴を理解しておくことが大切です。ローコード開発ツールの購入を検討している段階でメリット・デメリットを確認している場合でも、要件定義に進む前に、あらためて確認しておくとよいでしょう。

ローコード開発のメリット

ローコード開発には、システム開発全体の難易度を下げ、スピーディーかつ効率的にシステムを構築できるというメリットがあります。特に、開発工程にプロトタイピングの手法を取り入れることで、開発全体の期間を短縮できます。プロトタイピングとは、実際の開発を始める前に、実際に動作するモデル(プロトタイプ)を作成し、機能やデザインの検証・修正を繰り返していく手法で、以下のようなメリットがあります。

  • 要件定義の段階からプロトタイプを作成することで、検討時間を短縮できる
  • プロトタイプを設計に活かすことで、開発時間を短縮できる

ローコード開発ツールでは、プロトタイプを簡単に作成できるため、早い段階から作成することをおすすめします。また、プロトタイプを作成することで、ローコード開発ツールの機能や特性も理解できます。実際の完成イメージに近い状態で確認できるため、詳細な仕様を決定するまでの時間も短縮できます。

ローコード開発のデメリット

ローコード開発では、ツールを利用することでシステム開発全体の難易度を下げられる一方、ツールの仕様によって、実現できることが限られる場合があります。以下のようなデメリットを理解した上で、ローコード開発を利用する範囲について検討しましょう。

  • 開発できる内容に制限がある(自由度は低い) 
  • 開発内容によっては、専門知識を持つ人材が必要になる

ローコード開発では、あらかじめ用意された機能を組み合わせて構築することで、開発時間を短縮できます。一方で、実現したい機能が標準機能として用意されていない場合や、一部の機能を変更したい場合には、部分的にコーディングが必要になることがあります。また、開発内容によっては、データベースの設計や外部システムとの連携など、専門知識が必要になるケースもあります。

従来のシステム開発とローコード開発

従来のシステム開発の代表的な手法として、ウォーターフォール開発とアジャイル開発があります。これらの開発手法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、プロジェクトの規模や要求事項に応じて、適切な開発手法が選択されます。

ローコード開発には独自の開発手法があるわけではありません。ここでは、従来の開発手法にローコード開発をどのように組み込むと効果的なのかという視点で説明します。 

ウォーターフォール開発で活用する

ウォーターフォール開発は、プロジェクトを一連の工程(要件定義・設計・開発・テスト・公開など)に分け、各工程を順番に進めていく手法です。各工程では、前の工程で定義した成果物をもとに作業を進めます。

要件定義でシステムの機能や仕様を確定してから開発を開始するため、スケジュールや品質を管理しやすく、プロジェクトを安定して進められるというメリットがあります。一方で、開発期間が長期化しやすいことや、仕様の変更が難しいことがデメリットとして挙げられます。

ローコード開発を取り入れることで、ウォーターフォール開発のデメリットを解消できる可能性があります。前述の「ローコード開発のメリット」で紹介したように、ローコード開発ツールを使うとプロトタイプを簡単に作成できるため、要件定義から開発までの期間を短縮できます。

また、開発開始後も、用意されたパーツを組み合わせて構築することで、コーディングにかかる時間を短縮できます。仕様の変更についても、プロトタイピングを進めながら検討することで、早い段階で確認・調整できるようになります。

アジャイル開発で活用する 

アジャイル開発は、設計・開発・テスト・レビューといった各工程を短い周期で繰り返していく手法です。前の工程に戻ることを前提として、機能単位の小さなサイクルで作業を進めます。

システムの機能を確認しながら開発を進めるため、仕様の変更にも柔軟に対応でき、プロジェクトをスピーディーに進められるというメリットがあります。一方で、スケジュールや品質の管理が難しいことがデメリットとして挙げられます。

ローコード開発を取り入れることで、アジャイル開発のデメリットを解消できる可能性があります。前述の「ローコード開発のデメリット」で紹介したように、ローコード開発では、ツールの仕様によって実現できる内容に制限があります。しかし、実現できる範囲が明確であることは、開発のゴールを見通しやすく、スケジュールを管理しやすいことにもつながります。

また、ローコード開発プラットフォームでは、あらかじめ用意された機能や部品を利用できるため、個別に実装する範囲を減らし、開発時の品質管理にかかる負担を軽減できる場合があります。プロトタイピングはアジャイル開発の進め方とも相性がよいため、まずはローコード開発でスモールスタートしてみることをおすすめします。

intra-martで始める要件定義の流れ

ここからは、実際にintra-martのローコード開発ツールや機能を活用して、要件定義を進める方法について解説します。プロジェクトの各段階で、intra-martをどのように活用できるのかを見ていきましょう。

Step. 1 要件定義の準備(企画構想の立案)

要件定義を始める前に、まず企画構想を立案します。企画構想では、プロジェクトの目的やシステム化の構想、成果物のイメージ、スケジュール、体制などを検討します。検討した内容は、プロジェクト計画書にまとめておくとよいでしょう。

また、この段階で、intra-martのローコード開発ツールや機能について学習しておくことをおすすめします。実現したいイメージに合わせて、どのようなツールや機能を利用できるのかを事前に把握しておくことで、後の工程での検討に役立ちます。 

Step. 2 現状把握と課題の特定(要求定義) 

企画構想で立案した内容を実現するため、業務プロセスの改善や標準化について検討します。まず現状を把握するため、対象となるユーザにヒアリングを行い、業務を洗い出します。また、すでに利用しているシステムがある場合は、関連するドキュメントなどを調査します。

次に、システム化する業務について、業務プロセス関連図や業務フロー図を作成します。業務を可視化することで、現在の問題や課題を特定しやすくなります。

intra-martでは、業務プロセスの改善をサポートするツールやサービスを提供しています。プロセスの可視化と定義、実行、モニタリング、改善というサイクルを繰り返すことで、継続的に業務プロセスを改善できます。ローコード開発と組み合わせることで、業務プロセスの改善からシステム構築までスムーズに進めることができます。

Step. 3 基本プロトタイプの作成と適合性の検証 

要求定義で検討した内容をもとに、システムで必要な機能要件を検討していきます。機能要件を検討する際は、ローコード開発ツールを使って、基本プロトタイプを作成します。要件定義の段階でプロトタイプを作成することで、完成イメージを具体的に確認できます。また、プロトタイプをプロジェクトメンバー間で共有することで、意見や要望を反映しやすくなり、仕様決定までの時間を短縮できます。

intra-martでは、ワークフロー・画面・帳票・ビジネスロジックなどのプロトタイプを簡単に作成できます。また、簡単なアプリケーションであれば、テンプレートを選択するだけですぐに作成できます。プロトタイプを作成することで、プロジェクトの目的に合ったアプリケーションを作成できるかどうかを、早い段階から検証できます。

Step. 4 要件定義書の作成とレビュー 

基本プロトタイプで検証した内容をもとに、要件定義書を作成します。従来のシステム開発と同様に、業務要件とシステム要件(機能要件・非機能要件)をそれぞれ定義します。要件定義書を作成したら、プロジェクトの目的と要件の整合性が取れているか、要件に漏れや誤りがないか、要件を実現できるかなどをレビューします。

intra-martでは、作成したプロトタイプをもとに設計書を出力できます。出力した設計書を要件定義書の付属書類として活用することで、要件定義書の作成を効率化できます。

Step. 5 プロジェクト計画の調整と概算見積もり 

要件定義書の内容をもとに、Step. 1で作成したプロジェクト計画書の詳細を検討します。プロジェクトベースラインでは、スコープ(作業内容・成果物・開発プロセスなど)、スケジュール(マスタ計画・開発詳細計画など)、品質、リソース計画などを調整します。プロダクト開発計画では、開発手法やスケジュールを決定します。プロジェクトの規模によっては、リスク管理やコミュニケーション管理についても定めておくとよいでしょう。 

プロジェクト計画書の詳細が決まったら、その内容をもとに概算見積もりを行います。開発規模や工数、工期、コストなどを確認し、必要なリソースや費用を見積もります。 

まとめ 

ローコード開発を始めようとしても、最初の一歩を踏み出すことに戸惑っている方も多いのではないでしょうか。また、ローコード開発のメリットは理解していても、実際にどこから始めればよいのか、具体的な手順が分からない方もいるかもしれません。ローコード開発を進める際は、これまでのシステム開発の経験を活かしながら、どの工程にローコード開発を取り入れると効果的なのかを考えることが大切です。

ローコード開発ガイドでは、要件定義から運用・保守までの各工程について、intra-martのローコード開発ツールをどのように活用できるのかを解説しています。今回は、要件定義の工程にローコード開発ツールを取り入れ、プロトタイプの作成や設計書の出力を活用する方法を紹介しました。

プロトタイプを使って具体的な形で業務やシステムのイメージを共有することで、ユーザと開発者のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトの検討期間やリスクの削減につなげることができます。

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