ローコード開発の「運用・保守」とは? 安定稼働のポイントを解説
この記事でわかること
- ローコード開発における運用と保守の違い
- 運用・保守工程で活用できるintra-martの機能
- intra-martのローコード開発で運用・保守を安定的に行う方法
アプリケーションを公開した後は、運用・保守業務が発生します。運用・保守業務は、アプリケーションの安定的な稼働を目的としていますが、それぞれ明確な違いがあります。また、ローコード開発で行う運用・保守業務は、プラットフォーム側で担保している機能があるため、一般的な運用・保守業務とは異なる部分があります。両者の違いについても見ていきましょう。
この記事では、ローコードで開発した後に行う運用・保守について理解し、intra-mart Accel Platformの機能を最大限に活用しながら、アプリケーションを安定稼働させるためのポイントについて解説していきます。
- 1. ローコード開発における運用・保守の違い
- 1.1. ローコード開発の運用とは?
- 1.2. ローコード開発の保守とは?
- 2. 運用・保守で活用できるintra-martの機能
- 2.1. ログ情報の収集
- 2.2. バックアップ・リストア(復元)
- 2.3. アプリケーションのメンテナンス
- 3. intra-martで始める運用・保守の流れ
- 3.1. Step. 1 アプリケーションの運用・保守計画を立てる
- 3.2. Step. 2 アプリケーションの運用業務を確認する
- 3.3. Step. 3 アプリケーションの保守業務を確認する
- 3.4. Step. 4 運用中にトラブルが発生したときは
- 3.5. Step. 5 運用・保守の改善を進める
- 4. まとめ
ローコード開発における運用・保守の違い
ローコード開発プラットフォームでは、アプリケーションの開発だけではなく、公開後の運用・保守までを統合的にサポートしています。そのため、運用・保守では、プラットフォームの管理機能やセキュリティ対策などを考慮し、業務内容を精査していく必要があります。一般的な運用・保守業務と同様に、ローコード開発においても、アプリケーションを安定稼働させるという目的は共通ですが、対応する業務内容には大きな違いがあります。
ローコード開発の運用とは?
運用の役割とは、トラブルや不具合などでアプリケーションが停止しないように、安定的に稼働させ続けることです。アプリケーションが日々稼働するように管理や操作を行います。運用業務は「オペレーション」と「監視」に分けられ、以下のような作業を行います。
- アプリケーションデータのバックアップ
- アプリケーションの監視作業
- データの入力・出力
- セキュリティ管理
- ユーザサポート業務
intra-martのローコード開発の運用では、 intra-mart Accel Platform に、上記の作業をサポートする機能が備わっています。プラットフォームの機能を確認しながら、アプリケーションの運用に必要な作業について整理してみましょう。
intra-martのサービス仕様を確認する
運用担当者に向けて、intra-martのサービス仕様の詳細をまとめた仕様書を用意しています。intra-martの各種サービスの概要、サービスの起動・停止、ネットワーク分断時の動作などを確認できます。
ローコード開発の保守とは?
保守の役割とは、アプリケーションを安定的に稼働させ続けるために、トラブルや不具合などが発生した場合に対処することです。アプリケーションが早急に復帰するように、原因究明や改修を行います。保守業務は、「トラブル対応」と「改善」に分けられ、以下のような作業を行います。
- 不具合発生時の対応
- アプリケーションのエラー修正
- アプリケーションの機能追加
intra-martのローコード開発の保守では、intra-mart Accel Platform上で、上記の作業を行っていきます。開発担当者と保守担当者が異なる場合は、プラットフォームの機能を確認しながら、アプリケーションの保守で行う作業について把握しておきましょう。
関連ドキュメントを確認する
利用者別に、intra-martの各ドキュメントへのリンクをまとめたページを用意しています。アプリケーションの開発時に使用したintra-martの各ツールや機能の詳細について確認できます。
運用・保守で活用できるintra-martの機能
ここからは、運用・保守で利用できるintra-martのツールや機能について紹介していきます。intra-martのツールや機能を上手に活用し、運用・保守業務を効率よく進めていきましょう。
ログ情報の収集
ログ情報は、運用ではアプリケーションの挙動を監視するため、保守では不具合の原因を特定するためにそれぞれ使用します。intra-martでは、用途別にさまざまな種類のログ情報を収集できます。
アプリケーションのログ情報を出力する
intra-mart Accel Platformからシステムログや特定用途ログを出力する方法について確認できます。システムログでは、サーバの運用状態やエラー発生時のログを出力します。特定用途ログでは、リクエスト情報やセキュリティ情報など、用途に特化したログを出力します。
リソースのログ情報を出力する
Accel Studioに紐づくリソースのログ情報を出力する方法について確認できます。リソースとは、各ローコード開発ツールで作成したローコード資材のことを指します。システムログでは、Accel Studioに紐づくIM-WorkflowやIM-LogicDesignerのタスクで発生するログ情報などを出力します。リクエストログでは、Accel Studioに紐づくIM-BloomMakerやIM-LogicDesignerのルーティング定義に関するログ情報を出力します。
アプリケーションの開発時に設定した各種ログでは、アプリケーションの稼働監視や不具合の特定以外にも、アプリケーションの利用状況を取得できます。ローコード開発ツールから各種ログを分析することで、より詳細な情報を得ることができます。
エンティティの操作ログを確認する
IM-Repositoryから、エンティティの操作ログを検索したり、エクスポートしたりする方法について確認できます。
ロジックフローの実行ログを確認する
IM-LogicDesignerから、ロジックフローの実行ログを出力する方法について確認できます。
画面コンテンツのエラーログを確認する
IM-BloomMakerから、画面コンテンツに無効化されたエレメントやアクションが含まれている場合にエラーログを出力する方法について確認できます。
バックアップ・リストア(復元)
運用業務では、オペレーション業務の一つとして、定期的にアプリケーションに関するデータのバックアップを実施します。また、保守業務でも、バックアップを実施し、更新前の情報を取得してから改修作業を行います。状況によっては、定期的に保存しておいたデータを使って、不具合が生じたデータを復元します。
バックアップ対象とリストア(復元)手順
バックアップ対象やリストアの方法は、お使いの環境によって異なります。セットアップガイドでは、環境全体のバックアップの作成とリストアに関する基本的な内容について確認できます。
intra-martでは、エクスポート機能により、アプリケーション単位で内包するローコード資材をまとめて出力し、バックアップデータとして保管できます。また、バックアップデータは、インポート機能により、アプリケーションの開発時と同じ環境にデータを戻すことができます。
アプリケーションのインポート・エクスポート
バックアップ対象やリストアの方法は、お使いの環境によって異なります。セットアップガイドでは、基本的な内容について確認できます。
アプリケーションのメンテナンス
intra-martのローコード開発ツールで作成したアプリケーションは、プラットフォームがアップデートされても、その影響を受けにくいように設計されています。プラットフォームが仕様の互換性を確保しているため、プラットフォームが最新の状態になることにより、アプリケーション側に新しい機能を追加したり、パフォーマンスを軽減したりといった効果が見込めます。
プラットフォームのアップデート
プラットフォームのアップデート、モジュールのパッチ適用やモジュール構成の変更については、セットアップガイドで確認できます。任意のモジュールと設定ファイルを含むWARファイルを出力するIM-Jugglingという環境構築ツールについても押さえておきましょう。
intra-martで始める運用・保守の流れ
ここからは、実際にintra-martのツールや機能を使って、運用や保守を行う方法について解説していきます。運用と保守で業務の違いを認識しながら、intra-martのツールや機能をどのように活用できるのかについて見ていきましょう。
Step. 1 アプリケーションの運用・保守計画を立てる
運用と保守の違いを明確にした上で、アプリケーションの安定的な稼働や継続的な改善を目的とし、運用体制の構築や計画書の立案を進めていきます。intra-martのプラットフォームで担保する保守責任範囲を確認し、ユーザ側で必要な保守・運用作業について検討していきます。検討した内容は、計画書や実施要領としてまとめておきます。
Step. 2 アプリケーションの運用業務を確認する
アプリケーションの稼働状態を維持するため、運用計画をもとに必要な業務について確認していきます。アプリケーションの運用では、リリースされたアプリケーションがユーザの希望通りに機能しているかを監視し、安定的に稼働するための維持作業を行っていきます。
監視作業では、アプリケーションが負荷をかけていないか、ネットワークやサーバのシステムリソースの状態などを確認します。維持作業では、バージョンアップ、セキュリティパッチ、ユーザサポートなどアプリケーションが常時安定して動作するための機能の拡充などを行います。また、トラブル発生時の対応、アプリケーションやデータのバックアップ方法なども事前に検討しておきます。
Step. 3 アプリケーションの保守業務を確認する
アプリケーションの運用と同様に、保守計画をもとに必要な業務について確認していきます。アプリケーションの保守では、アプリケーションにトラブルや不具合が発生した場合に、原因を究明し、復旧作業を行っていきます。
原因究明では、intra-mart内の各種ログのデータを収集して解析したり、intra-martが提供しているトラブルシューティングの情報を検索したりするなど、トラブルの原因を探る方法について検討しておきます。復旧作業では、アプリケーションやデータをバックアップし、必要に応じてリストアを実施する手順について確認しておきます。
Step. 4 運用中にトラブルが発生したときは
アプリケーションの運用中にトラブルや不具合が発生した場合、トラブル対応の流れについて、具体的に見ていきます。トラブル対応では、初動対応が最も大切と言われています。どのような項目を確認すべきか、どこに報告すべきかをあらかじめ検討しておきましょう。
また、業務や他のシステムへの影響調査やトラブル発生の原因調査で、intra-martのドキュメント類やサポートサイトを上手に活用できるように、リンク先などを機能別に整理しておくこともおすすめします。復旧対応では、トラブルの内容に応じて、一時的な対応と計画的に行う恒久的な対応と分けて取り組むことも想定しておきます。
ロジックフローのエラーハンドリング
ロジックフローでは、エラー発生した際やその後にどのような処理を行うかを設定できます。エラーハンドリングは、主に開発時に設定しますが、運用・保守でも、エラー発生した際やその後にロジックフローがどのような動作を行うかについて確認しておくことをおすすめします。
Step. 5 運用・保守の改善を進める
アプリケーションを長期的に運用し続けていくと、ユーザのニーズや要求の変化により、機能追加やユーザビリティーなど、アプリケーションの改善を求められる可能性が出てきます。そのような場合に備えて、トラブル発生時に対処した履歴など、初期状態からの変更箇所をきちんと管理していくことが大切です。
変更管理ができていることを確認した上で、アプリケーションの改善を進めていきます。アプリケーション内のすべての機能を定期的に見直し、不要な機能の削除や新しい機能の追加などにより、さらに使いやすいアプリケーションに改修していくことができます。また、定期的に機能の棚卸しすることで、機能の複雑化を避け、運用・保守の負担を軽減できます。
まとめ
ローコード開発で作成したアプリケーションに対して、プラットフォームの機能も活用しながら、どのように運用・保守を行っていけば良いのかと思っていた方も多いのではないでしょうか? アプリケーションを安定的に使い続けていくためにも、運用・保守業務は欠かせません。運用と保守の違いを近いし、不具合が発生したときの対応について、各業務で何を行うべきかを事前に検討・準備しておくことが大切です。
ローコード開発ガイドでは、そのような方々に向けて、要件定義から保守・運用までの各工程において、intra-martのローコード開発ツールの効果的な活用方法について解説しています。今回は、運用・保守におけるローコード開発ツールの機能について紹介しました。
intra-martのローコード開発ツールを最大限に活用するためにも、ぜひ他の記事もご覧ください。