intra-mart全体像の把握
intra-martを適切に運用するためには、まずその全体像を把握することが重要です。システム構成や利用したい機能について、要件定義や基本設計の内容をもとに確認し、サーバ構成や利用するアプリケーション(モジュール)を整理します。
サーバやミドルウェアなどのインフラ層と、その上で動作するintra-mart Accel Platformの両方をあわせて把握することで、適切な設定や運用判断が可能となり、トラブル発生時の迅速な対応や影響範囲の把握につながります。
ライセンスの確認
intra-martでは、サービスやライセンスによって利用できる製品や機能が異なります。そのため、実現したい要件に応じて、適切なライセンスを選択することが重要です。利用開始前に、ライセンスの種類と内容について十分に検討しておきましょう。
intra-martのライセンスは、大きく分けて2つの種類があります。
-
パッケージライセンス
パッケージライセンスは、intra-mart製品を自社サーバ(オンプレミス)やクラウドサービスなど、 任意のインフラ環境にインストールして利用するライセンス形態です。 ユーザ自身で環境を構築・運用できるため、 自由度の高いカスタマイズや柔軟な管理が可能です。 -
クラウドサービスライセンス
クラウドサービスライセンスは、intra-mart社が各種製品をクラウド環境にインストールし、利用環境を提供するライセンス形態です。ユーザ自身でインフラを構築・管理する必要がなく、 短期間での導入や運用負荷の軽減が可能です。
利用する環境や運用体制に合わせて、最適なライセンスを選びましょう。
- パッケージライセンスは、利用したい環境の種類によって、ライセンス設定やライセンスのカウント単位が異なります。詳細は 「intra-martの歩き方 - パッケージライセンス」を参照してください。
- クラウドサービスライセンスは、クラウドシステム構築基盤サービスであるAccel-Martの契約が必要です。詳細は「intra-martの歩き方 - クラウドサービスライセンス」を参照してください。
システム環境の確認
intra-martを構築するために必要なシステム環境について確認します。システム環境は、コストやパフォーマンスなどの要件に応じて適切に設計・構築することが重要です。ここでは、システムの理解と構築を円滑に進めるため、最小限でシンプルなスタンドアロン構成を例に説明します。

intra-martの最新バージョンにおけるサーバおよびミドルウェアの要件については、「intra-mart Accel Platform リリースノート - 6. システム要件」を参照してください。
適切なサーバ構成を検討する
サーバ構成を検討する際、システムの利用目的や想定されるユーザ数・処理量などを踏まえ、必要なサーバの台数・役割・スペックを決定します。また、可用性や拡張性、パフォーマンス、コストといった観点も考慮し、運用に適した構成を設計することが重要です。
本ガイドでは、Webサーバ・アプリケーションサーバ・データベースを1台に集約した、単一サーバによるスタンドアロン構成を前提としています。OSはWindows Serverを使用します。ローカル環境で手軽に構築できるため、初めてintra-martをセットアップする場合でも、各ツールの操作感や基本機能をスムーズに確認できます。単一構成を想定している場合は「intra-martの歩き方 - スモールスタートで気軽に導入したい」を参照してください。
なお、アプリケーションサーバとデータベースの分離やクラスタリングなど、大規模な分散構成を想定している場合は、「intra-martの歩き方 - 運用フェーズへステップアップしたい」を参照してください。用途に応じたサーバ構成の例について確認できます。
ミドルウェア構成を検討する
intra-mart Accel Platformは、複数のミドルウェア上で動作します。ミドルウェア構成の検討では、アプリケーションサーバやデータベース、各種連携ミドルウェアの選定およびバージョンを決定します。また、動作要件や他システムとの連携、サポート状況を踏まえ、安定性・拡張性・保守性を考慮した構成とすることが重要です。
運用環境で利用する場合は、必ずWebサーバを経由してアプリケーションサーバへ接続してください。また、静的コンテンツはWebサーバに配置する必要があります。これらの条件を満たさない接続構成は、動作保証およびサポートの対象外となります。
本ガイドでは、次に示すミドルウェア構成を前提としています。ここでは、動作要件を満たしつつ、最小限の構成で構築できるように各ミドルウェアを選定しています。
なお、認証連携や監視ツールなどの関連機能については、必要に応じて別途セットアップしてください。
| コンポーネント | 製品名 |
|---|---|
| Java | Oracle JDK |
| アプリケーションサーバ | Resin |
| データベース | PostgreSQL |
| Webサーバ | Apache HTTP Server |
テナントの運用方法を検討する
テナントとは、intra-mart上で業務を実施するための環境単位のことを指します。ユーザや組織、ロール、権限などの設定を含め、運用に必要な基本構成を検討することが重要です。
intra-martでは、同一サーバ上でテナントを1つのみで運用する方法と、複数に分けて運用する方法の2種類から選択できます。

-
シングルテナント運用:
すべてのユーザやデータを1つのテナントで管理します。システム全体が集約されるため、設定や保守がシンプルで、管理の負担を抑えることができます。 -
マルチテナント運用:
テナントごとにユーザやデータを分離し、業務プロセスや組織単位 (部門・グループ会社など) で運用を切り分けることができます。柔軟な権限管理や個別の運用ルールが求められる場合に適しています。
運用方法の選択は、組織の規模、業務の複雑さ、将来的な拡張性などを踏まえて検討しましょう。
本ガイドでは、シングルテナント運用を前提としています。シングルテナント運用は、中小規模の組織やシンプルな管理を望む場合に最適です。一方で、マルチテナント運用は、複雑な業務構成や高いセキュリティ要件がある企業に向いています。各テナントの概要と運用方法について、詳細は「intra-martの歩き方 - テナントの運用方法を考える」を参照してください。
アプリケーション・モジュールの整理
intra-martでは、さまざまなモジュールを組み合わせて機能を構成します。システム環境を適切に構築するためには、各モジュールの役割や依存関係を理解し、必要なモジュールを整理することが重要です。ここでは、主要なモジュールの概要と役割を整理します。
なお、アプリケーションは各モジュール上で動作しており、提供される機能はモジュール構成に依存します。そのため、まずは利用するアプリケーションを決定し、それに応じて対応するモジュールを事前に確認しておくことが大切です。
利用するアプリケーションを検討する
intra-martを効果的に活用するためには、各アプリケーションの役割を理解した上で、利用するアプリケーションを選定することが大切です。それぞれの機能や用途を把握することで、適切なツールを選択し、効率的に開発・運用を進めることができます。
よく利用されるアプリケーション
intra-martで提供されるアプリケーションは、それぞれ異なる役割を持っています。ここでは、業務システムの開発や構築において、よく利用されるアプリケーションを紹介します。
- Accel Studio:統合的なローコードアプリケーション開発・管理 「Accel Studio アプリケーション管理機能 仕様書」
- IM-LogicDesigner:ビジネスロジックの作成 「IM-LogicDesigner」
- IM-BloomMaker:複雑な画面の作成 「IM-BloomMaker」
- IM-FormaDesigner:Webフォーム画面の作成 「IM-FormaDesigner」
- IM-Repository:用語およびそのメタデータの管理 「IM-Repository ユーザ操作ガイド」
- ViewCreator:表やグラフの作成 「ViewCreator」
- IM-BIS:BPM(ビジネスプロセスマネジメント)とワークフローを統合したツール 「IM-BIS ビギナーズガイド」
- IM-Workflow:システム共通基盤型のワークフロー管理システム 「IM-Workflow ユーザ操作ガイド」
利用できるアプリケーションは、ライセンスの種類によって異なります。そのため、環境をセットアップする前に、intra-mart Accel Platform上で利用するアプリケーションの種類や、必要なアプリケーションが利用可能かどうかを確認してください。
アプリケーションは、それぞれ相互に依存関係を持っています。たとえば、IM-BISを利用する場合は、IM-FormaDesignerとの依存関係があるため、両方のアプリケーションを利用できる環境を構築する必要があります。モジュール間の依存関係について、詳細は「ユーザモジュール開発ガイド - モジュール間の依存関係」を参照してください。
必要なモジュールを確認する
intra-martでは、利用する機能やアプリケーションによって必要となるモジュールが異なります。そのため、複数のモジュールで構成されており、その構成は、「IM-Juggling」というツールで確認できます。
IM-Jugglingは、intra-mart専用のWARファイル作成・管理ツールです。業務システム基盤に必要なモジュールや設定、静的ファイルをまとめてパッケージ化し、WARまたはZIP形式で出力することで、デプロイ準備を自動化します。また、intra-martが提供する製品モジュールと、ユーザが追加したモジュールや各種設定をまとめて統合し、デプロイ用のWARファイルを生成します。
モジュールによってはアドインのような機能もあるため、実現したい内容に応じて環境を柔軟にカスタマイズできます。
WARファイルは、Javaのアプリケーションサーバ(Resin、Tomcatなど)にデプロイして動作させる、Webアプリケーションをまとめたアーカイブ形式のファイルです。Javaクラスやライブラリ、web.xmlなどの設定ファイル、アプリケーションの内部ロジック、WEB-INF配下の情報など、「動的コンテンツ」を中心に構成されています。
一方で、静的ファイルは、画面を構成するリソースをまとめたものを指します。HTML、CSS、JavaScript、画像ファイルなど、処理を加えずそのまま配信される「静的コンテンツ」を中心に構成されています。
このように、WARファイルはサーバ側での動的処理を担い、静的ファイルはクライアントへの直接配信される役割を持ちます。
IM-Jugglingのモジュール構成例
よく利用される機能やアプリケーションにおけるモジュール構成例を示します。モジュール構成は、IM-Jugglingのプロジェクト詳細画面から[juggling.im]をクリックすると確認できます。各タブでは、以下の情報が表示されます。
- ベースモジュール
- アプリケーション
- ユーザモジュール
- 設定ファイル
- 履歴
「ベースモジュール」タブでは、intra-mart標準のモジュール構成が一覧で表示されます。

「アプリケーション」タブでは、intra-martの製品アプリケーションに関するモジュール構成が一覧で表示されます。

「ユーザモジュール」タブでは、ユーザが独自に作成したモジュールが一覧で表示されます。

「設定ファイル」タブでは、選択したモジュールの設定ファイルが一覧で表示されます。

「履歴」タブでは、過去に保存した構成履歴が一覧で表示されます。

モジュールの追加や変更は、モジュール構成のチェックの有無により切り替えることが可能です。設定変更後は、再デプロイしてください。
intra-mart Accel Platformでは、すべての機能が「モジュール」単位で構成されています。プロコード(スクラッチ開発)におけるカスタマイズでは、ベースモジュールを直接編集せず、差分をユーザモジュールとして実装することを基本方針としています。詳細は「4. アプリケーション開発の準備 - 開発のカスタマイズ方針」を参照してください。
テナント環境をセットアップした後は、IM-Jugglingを起動しなくても、システム管理画面からモジュール構成を確認できます。「システム管理者ホーム」画面の[システム管理]メニューから[モジュール参照]をクリックすると、「モジュール参照」画面が表示されます。

システム環境とアプリケーションの適合確認
システム環境とアプリケーションの適合を確認することは、intra-martを安定して運用するために大切です。intra-mart Accel Platformのバージョンやシステム要件(OS、クラウドサービス、アプリケーションサーバ、データベース、Webサーバ)などによって、利用可能なアプリケーションが異なります。そのため、検討したシステム環境に対して、利用したいアプリケーションが適合しているかを事前に確認してください。
intra-mart Accel Platformの各バージョンにおけるシステム要件および対応するアプリケーションについては、「Accel シリーズ システム要件対応表(Excelファイル)」を参照してください。リンクをクリックすると、Excelファイルがお使いのPCの「ダウンロード」フォルダに保存されます。